『ビートルズに学ぶ成長戦略 』第5回FIXプロモ研究会 セミナーレポート

講演内容

ビートルズに学ぶ成長戦略 ~ビートルズを知ればチームを成長させるヒントが見えてくる~

日時:2018年10月25日(木) 場所:KUMU 金沢

講師:音楽評論家 宮永 正隆(みやなが・まさたか)様
1960年生まれ。金沢市出身。早稲田大学法学部卒業後、集英社に入社。編集者として「星の瞳のシルエット」「耳をすませば」「お父さんは心配性」「ちびまる子ちゃん」などを担当。現在は音楽評論家。ビートルズ大学学長。ポール・マッカートニーやヨーコ・オノの各2度に渡るインタヴューなど、膨大な知識と愛情に裏打ちされた骨太なビートルズ評論は国際的に評価も高い。音楽評論誌「レコード・コレクターズ」で連載中の「ビートルズ来日学」は連載10年目に入る。書籍「ビートルズ来日学」は2017年度ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞(最優秀出版物部門)受賞。書籍「ビートルズ大学」は、NY国際音楽文献目録登録。現在オランダ・アムステルダム在住。

1.既成概念をとっぱらえ

ビートルズの偉大さは、様々な既成概念を破壊してきたこと。その数は一つや二つではありません。
例えばビートルズ以前は、作詞家・作曲家・楽器演奏者・歌い手は、それぞれの学問を修めた人たちによる別個の職能でした。
ビートルズは音楽学校を出たわけでもないのに、それらのすべてを自分たちでやってのけました。
それどころかオリジナル曲でデビューしたいと言ってそれを貫いた所にも彼らの既成概念に縛られない行動力が見られます。
下の動画をご覧ください。当時のアイドルとしては御法度であった「タバコ」を吸っている姿を堂々とマスコミの前に見せています。

他にも、当時のミュージシャンとしては珍しく、ミキシングルームに立ち入って、自分たちの意見を音源に反映させました。(ちなみに当時、EMIのレコーディングエンジニアは白衣着用だったそうです)
世界中で大規模ツアーを行なうようになってからも、リバプール時代の顔なじみの少数のスタッフ編成を貫いています。
ここから読み取れるのは、アイデアに確信や信念があれば、既成概念にとらわれる必要はなく自由に考える事が成功への秘訣かもしれないという事です。
さらには、慣例や慣習、何となく決まている事やタブーとされているものにこそチャンスがあるのかもしれません。

2.実はビートルズは努力家

4人の天才が集まって魔法のように名曲を生み出しているようなイメージを持たれる方の多いビートルズですが、確かな演奏力を努力によって身に着け、そしてより複雑なフレーズを習得する努力を、自らの意思で行っています
その代表例は、彼らのハンブルグ時代の活動にさかのぼります。「All my loving」等、オリジナル曲を作る際にもあえて難しいベースラインを引きながら歌っています。それを実現するために、彼らは猛練習をしたそうです。

「寝る間も惜しんで、自由な時間などない」という時期は、成長のためにはある程度必要なのではないでしょうか。そしてそれは誰かにやらされるのではなく、あくまで自分達の意思でやるという事が大事なのではないかと思います。
バンドの後半、スタジオ期に入った後も非常に難しい演奏にチャレンジしてレコーディングに臨みました。
その背景に見え隠れするのは、自分に嘘はつけないという想い。「あの時、自分は思い切りやった」と後々、胸を張ってと言えるような仕事を心がけていたのではないかと思います。
ビートルズは天才と思われるかもしれませんが、才能を開花させる為には泥臭い修練による基礎体力も大きな要素となります。
99%の努力があってこそ、その才能は大きく開花するという事ではないでしょうか。

3.小目標を設定せよ

ポールが近年のインタビューで「どうしたら、世界1のバンドを目指せるのか?」という質問に対し、「目の前の中間目標を設定して、それをひたすらクリアしただけさ。」と語っています。

そこで下積みのハンブルグ時代以降、彼らのその当時の目標を整理すると以下のようなものになると思われます。

1961年:リバプールのロックタウン誌「マージ―ビート」誌で人気投票1位になりたい
1963年:リバプールエンパイアシアターに立ちたい
1963年:ロンドンの劇場に立ちイギリスでNo1になりたい
1963年:ヨーロッパでNo1になりたい
1964年:アメリカでNo1になりたい

1964年、偶然ヒースロー空港に降り立ったエド・サリバンがビートルズ出迎えの大騒ぎを見て、自身の「エド・サリバンショー」の出演を依頼したというエピソードがあります。重要なのは、エド・サリバンショー出演が決まった時点ではまだビートルズは全米チャート1位を獲得するに至っていなかったという事。しかし彼らがエド・サリバンショーに出演するためにアメリカに降り立ったとき、アメリカでのデビューシングル「抱きしめたい」が全米1位を獲得し、アメリカ全土がビートルズブームに包まれるというまさに絶好のタイミングでエド・サリバンショーに出演となるわけです。

何をやってもうまくいく状態を表す言葉として「有卦に入る(うけにいる)」という言葉がありますが、小さな小目標を設定して、それをクリアしていく中で、最後は神がかったように有卦に入った状況へたどり着いたわけです。
これはビジネスにおいても有効な手法なのではないでしょうか。

4.チームには多様な個性が集まるほど良い

ジョージは3つ下の寡黙で繊細なギター小僧。ポールは、社交的で明るい左利きの天才。リンゴは天下一品のドラマー、ミュージシャンが憧れるほどのミュージシャン。ジョンは安定したリズムギター。気が合う仲間でも「様々な才能」が集まった事がビートルズの成功要因であると考えます。
以下は映画「ハード・デイズ・ナイト」の記者会見のシーンの一節です。

記者に「How did you find America?」とアメリカの感想を聞かれ、ジョンは「グリーンランドを左に曲がって」と言っています(記者の質問が「あなたはどうやってアメリカを見つけたのか」という意味にも解釈できる形容であるため)。これは実際にアメリカ上陸時の記者会見でジョンが発言した言葉でした。
ポールは記者から何を聞かれても「ただの良いお友達です」(優等生アイドルのお約束の受け答え)、ジョージは記者からの「成功はあなたの人生をどう変えましたか?」と5W1Hの質問(答えにはYESやNOが来ない質問)をされているのに「YES」とだけ答えています。リンゴに至ってはファッションについて「あなたはロッカー派?モッズ派?」と聞かれ「モッカ―」と答えています。映画「ハード・デイズ・ナイト」は4人が本人役を演じたセミ・ドキュメンタリーですが、脚本家は実際の記者会見の受け答えを参考に、4人のキャラクターを浮き彫りにしています。
多様性があるからこそチームの意義がある。「気が合う」仲間でありながら「個性が違う」という事が重要な成功要因であったと言えます。

5.偶然を取り込んで楽しむべし。

ラバーソールのジャケットをよく見ると、少し写真が歪んでいます。これは、アルバムのジャケット写真を映写機で紙に写しながらセレクトしていたところ、その紙がガタっと傾いて、写真がびよーんと伸びてしまったそうです。これを見たメンバーが、「この感じがいい!」という事で決まったそうです。

また、アビーロードのジャケット背面のスカートの女性、これも偶然女性が通りがかったNG写真を、「これがいい!」とビートルズたちが選んだそうです。

無為自然である事を楽しむ余裕がある事が名作を生むのかもしれません。
(もちろん、一方で緻密な作曲や演奏の練習なども欠かさないという事もありますが、、)

6.自分自身の奥底の声に耳を傾けよ。

1976年、アメリカ建国200周年記念のイベントとして、巨額のオファーによる再結成要請に、ビートルズは答えませんでした。
1979年、国連からのチャリティーコンサートにおける再結成オファーにも沈黙を貫きます。
(下記図版は、宮永氏が当時切り取ってスクラップした記事)

そんな彼らが1994年、アンソロジーで25年ぶりに再結成をします。Free as a bird「鳥のように自由に」というジョンの残したデモテープの曲に他の3人が声や楽器を重ねるという形での実現でした。
ビートルズ解散にまつわる様々な憶測や、周りからのノイズ、お金による誘惑を意に介さず、彼らは自分たちの判断を下したわけです。
「迷ったら茨の道をいけ」私は彼らの姿勢をそんな風に感じます。
改めて何かを判断するとき、ビートルズはどうしてきたか。自分の心に耳を傾けてきたのではないでしょうか。
皆さんも何か判断に迫られたときは自分の心の声に身を任せて、最後はこの曲のように「鳥のように自由に」決断してみてはいかがでしょうか。

さいごに

今回の講師宮永さんの公演を聞いて、宮永さん自身が「ビートルズ研究を通して様々な経験や考え方が身に付いた」と言っていた事が印象に残りました。「ビートルズに限らずあらゆる趣味や事象などを、深く突き詰めていく事によって、自分の内面を深めることが出来る」ともおっしゃっていました。そして、なにより宮永さん自身、編集者時代から今日まで、どんな環境をも楽しんで、自分に嘘をつかず精一杯歩んでこられたのだろうと感じました。今回のビートルズに関するセミナーで自分の在り方をもう一度考えるきっかけを頂きました。

■レポート:株式会社フィックス黒田朋宏
最後までお読みいただきありがとうございました。株式会社フィックスの映像事例集も更新されましたので是非ご覧ください!

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