『他社の経営資源を活用した成長戦略』
〜実例からみるアライアンスとM&Aのメリットと注意点〜
第14回FIXプロモ研究会セミナーレポート

講演内容

他社の経営資源を活用した成長戦略 〜実例からみるアライアンスとM&Aのメリットと注意点〜

日時:2019年8月23日(金)場所:ITビジネスプラザ武蔵 5F 研修室1

講師新倉 理人(にいくら まさと)

大学卒業後、みずほ銀行にて中堅中小企業向けの融資業務や債権管理業務に従事。
その後、三菱UFJリサーチ&コンサルティングにて、
金融機関向けの顧客満足度調査(CS調査)を活用した経営管理の高度化や、
中堅中小企業のM&A支援を担当。
現在は大手コンサルティング会社にて、M&A候補の選定や中期経営計画の策定支援、
M&A実施後の統合支援等のプロジェクトに参画中。

特別ゲスト若松 孝夫(わかまつ たかお)
若松梱包運輸倉庫/取締役事業本部長

大学卒業後、家業である若松梱包運輸倉庫に入社。
幼い頃から倉庫が遊び場として育ったため、同族会社である今の会社へは自然な流れで入社。2011年、取締役に就任。しかし、自分が慣れている範囲や環境と、中途半端な知識のまま経営者になることに不安を感じ、2年間の休職を決断。慶應義塾大学大学院へ入学しMBA取得後、家業に戻る。2019年3月にM&Aで大和ハウスグループに参画してからは、
売上1,000億を目指す新たな成長政略として、海外事業とM&Aに注力している。

1.M&Aとアライアンスとは?

企業の戦略上の目的を実現するために経営資源を獲得する手段。

M&A/アライアンスの形態

M&A/アライアンスの 戦略上の狙い

水平統合

規模の経済を狙い、バリューチェーン上の、特定の工程を担う複数企業の一体化。
合併による店舗数拡大。

垂直統合

ユニクロのようにバリューチェーン上の付加価値の源泉となる工程の取込み。

多角化

既存の製品や市場とは異なる新たな市場への事業分野展開。
新しい事業やエリアを開拓するために使われる。

 

2.M&Aの取引の流れ

1.プレディール

2.エグゼキューション

デューデリジェンスでは会社や事業内容の精査を行います。バリュエーションでは価格の精査を行います。それを経て売買条件に関する交渉(価格や雇用条件を含む)を行います。

3.PMI

なぜ統合されたかを従業員が把握する事が大切。ここをうまく、スピーディーにやらないとモチベーションやポジティブな感情が薄れていく。鉄は熱いうちに打て!

PMI注意点

戦略との不一致に注意
当該M&Aを行う理由が自社の戦略上の目的と明確に位置付けられていない場合、十分なシナジーが見込めず資金の、回収が困難

手段の目的化に注意
それまでに費やした時間やコストから逆算して、やることが目的になってしまう。。。

 

アライアンスのポイント

営業秘密情報の管理
画提携で知りえた情報を相手方に悪用されるリスクがある。

提携先との役割設計
提携によって得た成果や費用の配分を予めしっかり決めておく。
役割も明確に決め、間にボールが落ちるようなことが無いように。

3.M&A取引の事例紹介

マツモトキヨシとココカラファイン、統合で業界1位に

ドラッグストア大手同士の合併、背景にあったのは業界環境の変化。
・国内市場の飽和
・セルフメディケーション推進の流れ
・小売業態の競争激化

お互いの目指すシナジー効果

マツモトキヨシ
・規模拡大によるコスト低減
・調剤事業の強化

ココカラファイン
・規模拡大によるコスト低減

4.若松梱包運輸倉庫とダイワハウスの事例

大企業が中小企業を買収するケースの中で

若松梱包運輸倉庫を中核に冷凍・冷蔵・定温・常温の4温度帯共同配送システムを持ち92億円を売り上げる、北陸の有力物流企業。2019年、ダイワハウスによる90%の株式買収で大和ハウスグループの傘下に入りました。
地元でも大きなニュースとして扱われ、その動向が注目されているトピックでした。

売上も、社員数も、利益も右肩上がりな状況、その中でダイワハウスグループの一員になったのは?

売上も、社員数も、利益も右肩上がりな状況で、当初はあまりピンと来ていなかったというのが実際のところです。

プロジェクトを前進させたのは、物流の近代化を目の当たりにしたこと。
具体的にはアマゾンの物流倉庫であったり、アリババの物流システムであったりというものですが、そこでは既にAIやロボットが人間の代わりをしていて、今後自動運転といった技術革新が来ることも見えていました。

ダイワハウスは4兆円企業、10兆円を目指し、AI・自動運転の分野の研究も進めていました。この技術革新の波を捕まえていく事が今回の大きな目的の一つです。今すぐ勉強をして、将来に備えようという決断でもあります。

そして、市場拡大の面でも、今後発展が見込まれる東南アジアの冷凍物流でシェアを獲得していくことも目的の一つです。
東南アジアは今後、発展する中で、国民の所得が増え、夫婦共働きが進み、冷蔵庫が普及し、冷凍食品の需要が大きく伸びることが見込まれ、わが社の4温度帯の物流ノウハウが役に立てると考えています。

実際にM&Aを経験して

予め社内関係者はM&Aについて勉強をしておくことが重要ですね。
見逃しがちですが、お互いの会社の中でも調整が必要であるという事です。

5.まとめ

最近は私の身の回りでもM&Aというキーワードを耳にする機会が増えました。
その時に一緒に聞こえてくるキーワードが「スピード」です。買収によって、短期間に成長を加速させるという事ですが、今回重要なキーワードが「PMI」ではないかと思いました。せっかくM&Aをしても、実際に働く人達が目的や意義を理解できないと、その成長速度は鈍ってしまうことは容易に想像できます。M&Aの最中は情報を公開できなかったりと、いろいろな制約があるため、実際にM&Aが成立してある日突然、社員はその事実を知るという事になる中、新倉氏のお話では1ヶ月以内に社員に対してM&Aの目的や意義の落とし込みを行えるかどうかがカギであるとの事でした。これは買収に限らず、何か新しいことをする際にも重要なことかもしれません。

■レポート:株式会社フィックス黒田 朋宏
最後までお読みいただきありがとうございました。株式会社フィックスの映像事例集も随時更新中ですので是非ご覧ください!

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